熱中症は「気温」だけでは決まらない

熱中症は「気温」だけでは決まらない

熱中症は「気温」だけでは決まらない

― 5月から始める、早めの熱中症対策 ―

5月はまだ真夏ではないものの、実は熱中症への注意が必要な時期です。体が暑さに慣れていない「暑熱順化」が十分できていないため、気温がそれほど高くなくても体調を崩しやすくなります。近年は5月でも夏日や真夏日になることが増えており、早めの予防が重要です。

熱中症は単純に「気温」だけで決まるわけではありません。重要なのは、気温に加えて「湿度」「日差しや地面からの照り返し(輻射熱)」を含めた環境全体です。これらを総合的に評価した指標が「WBGT(暑さ指数)」で、現在では熱中症予防の目安として広く用いられています。

たとえば湿度が高い日は、汗が蒸発しにくくなり、体の熱を外へ逃がせません。また、アスファルトの照り返しや風通しの悪い環境も熱中症リスクを高めます。子どもや高齢者は体温調節機能が弱く、特に注意が必要です。

予防の基本は、「暑さを避ける」「こまめな水分・塩分補給」「無理をしない」の3点です。帽子や日傘を利用し、屋内ではエアコンや扇風機を適切に活用しましょう。

水分補給には、カフェインを含まない麦茶が日常的に取り入れやすい飲み物です。汗で失われた水分を補いやすく、普段の水分補給に適しています。ただし大量に汗をかいた場合には、経口補水液やスポーツドリンクなどで塩分も補うことが大切です。

また、漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」は、体内の水分バランスを整える漢方として知られています。暑気あたりによる頭痛やめまい、吐き気などに用いられることがありますが、あくまで補助的な役割です。症状が強い場合や意識障害がある場合には、速やかな受診が必要です。

「なんとなくだるい」「頭が痛い」「汗が止まらない、あるいは急に出なくなった」といった症状は、熱中症のサインかもしれません。5月のうちから意識して予防を始め、暑い季節を安全に乗り切りましょう。

参考文献

·         環境省 熱中症予防情報サイト

·         日本救急医学会 熱中症診療ガイドライン2024

·         日本スポーツ協会 熱中症予防運動指針

·         日本東洋医学会 漢方治療エビデンスレポート(五苓散)

東京予防クリニック 院長 安水大介
執筆・監修
/ 東京予防クリニック 院長

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。心臓血管外科医を経て厚生労働省で医療政策立案に従事。London School of Economics・シカゴ大学公共政策大学院で医療経済を研究し、Johnson & Johnson の Head of Government Affairs & Policy を経て東京予防クリニックを開院。

最終更新日:2026.05.20

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状のある方は医療機関にご相談ください。

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