GLP-1ダイエット、知られざる影響にも注意?

GLP-1ダイエット、知られざる影響にも注意?

GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病の治療薬として開発されました。しかし、体重減少効果が高いことから、近年では「GLP-1ダイエット」として広く利用されるようになっています。

一方で、この薬にはまだ十分に解明されていない作用がある可能性も指摘されています。

最近、アメリカの学会では、GLP-1受容体作動薬を使用した男性で、男性ホルモン(テストステロン)の値が上昇する可能性が報告されました。また、精子の運動能力が改善する可能性を示した研究もあります。

ただし、これらの結果はまだ研究段階です。過去の研究をまとめた解析では、テストステロン値が上昇したという報告もあれば、変化が見られなかったという報告もあり、現時点では結論は出ていません。

では、なぜテストステロンが増える可能性があるのでしょうか。

脂肪組織には「アロマターゼ」という酵素があり、男性ホルモンであるテストステロンを女性ホルモンのエストラジオールへ変換しています。GLP-1受容体作動薬によって体脂肪が減少すると、この変換が少なくなり、結果として血液中のテストステロンが増える可能性が考えられています。

もちろん、テストステロンが正常範囲で改善すること自体は必ずしも悪いことではありません。しかし、ホルモンバランスの変化によって予想外の影響が起こる可能性もあり、今後さらなる研究が必要です。

GLP-1受容体作動薬は非常に有用な薬ですが、「手軽なやせ薬」として安易に使用するものではありません。安全に治療を続けるためには、体重だけでなく、血液検査や体調の変化も確認しながら、医師の管理のもとで適切に使用することが大切です。

参考文献;https://www.nature.com/articles/s41586-026-10330-z


東京予防クリニック 院長 安水大介
執筆・監修
/ 東京予防クリニック 院長

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。心臓血管外科医を経て厚生労働省で医療政策立案に従事。London School of Economics・シカゴ大学公共政策大学院で医療経済を研究し、Johnson & Johnson の Head of Government Affairs & Policy を経て東京予防クリニックを開院。

最終更新日:2026.06.17

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状のある方は医療機関にご相談ください。

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